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デザイン思考が世界を変える IDEOティム・ブラウン

- デザイナーになって最初にデザインした製品が業務用の木工機械だった。
私は夏いっぱいかけて外観の優れたデザインを作成した。
評判は上々だった。
しかしそれを目にする機会はもうない。その会社はかなり前に廃業したからだ。
私はデザイナーとして重要なのは機械のデザインではなく、木工業界の未来なのだという点に気づいていなかった - ティム・ブラウン( IDEO CEO)


デザイン思考が世界を変える」を読みました。
この本はアメリカのデザインファーム「IDEO」社長の ティム・ブラウン(Tim Brown)が書いた著書。
「デザイン思考」を通して、いかにして恒常的にイノベーションを生み出す会社組織を作るか、をテーマに書かれた本です。

大量生産やテレビCMなどマスに最適化されたビジネスモデルの効率はすこぶる悪くなっている。
セグメント化した消費者にものを売り込むような従来のマーケティング手法も歯が立たない。
世界はいまイノベーションを必要としている。

その問題を解決する方法。
それが「デザイン思考」です。

デザイン思考とは、
簡単に言うと「デザイナーのように考えて問題解決に当たる」こと。

従来のビジネスモデルに閉塞感がある今、必要なのは「大規模な変革」です。
イノベーションを発揮した新しいビジネスモデルを生み出すことが求められています。

そのような「大規模な変革」を起こすために必要なこと、は大きく分けて2つあります。

まず1つは、企業の幹部やビジネスリーダーがデザイン思考を持つこと。
企業の幹部たちがまず「デザイン思考」デザイナーのように考えて問題解決に取り組むことが必要です。
そうでないとビジネスにイノベーションを生み出すことは出来ず、人々を引きつける商品を生み出すことはできません。大規模な変革を生み出すことは出来ないのです。

そしてもう1つは、デザイナー自身も変わること。
デザイナーも、ロゴを作るだとか、魅力的な筐体のデザインをするような20世紀型のデザイナーで留まるべきではない。今必要なのは「大規模な変革」であり、デザイナーはスタジオや工房の中で閉じこもるのではなく、ビジネスの重役会議でも力を発揮できるようにならなくてはならない。

そして、お互いが協力しあいイノベーションを持ったビジネスモデルを作っていく。
今はそれが求められている時代なのです。

このIDEOの「デザイン思考が世界を変える」も、先日読んだfrog designの「デザインイノベーション」も内容的にはかなり似ていました。

どちらも共通しているのは、今大きく時代が変わっている中、ビジネスモデルは大きく変わってきている。そしてデザイナーの役割も変わってきている。これからのデザイナーは従来のデザイナーの形から変わっていかなくてはならない、ということでしょう。

IDEOとfrog design という大きなデザインファームが同じようなことを感じているというのは、
それほど世の中が大きく変わっているということなんだと思います。

日本のビジネスモデルは20世紀からあまり変化がなく、今は閉塞感がかなりあるように感じます。
世界の急速で大規模な変革のスピードに追いつけておらず、取り残されそうにもなってます。
この本のように、みんなが「デザイン思考」を持てる世の中になったら、面白い時代になるかもしれませんね。