先日、「ハイコンセプト」という本を読みました。
アメリカの作家ダニエル・ピングという方が執筆した本で、
翻訳はあの大前研一さんがされてます。
この本は、基本的にはビジネス書なんですけど、内容はほぼデザインの話。
ビジネス面から見たデザインの話という感じでした。
内容的には、以前読んだ「デザイン思考が世界を変える」や「デザインイノベーション」に近いかも。
この本は、これからの時代のイノベーションの必要性を唱えた内容になってるんですが、
ただこの本、iPhoneやWiiが発売される前(2006年)に出版されてるんですよね。
さすがダニエルピングさんと大前研一さんの未来を読む力すごいですね。
世界で起きている3つの危機
今、世界では3つの危機的な変化が起こっている。それは
- 過剰な豊かさがもたらす新しい価値観
- 次から次へと湧き出す「競争相手」
- 簡単なことは、すべてコンピューターに代行されてしまう
第1の危機:過剰な豊かさがもたらす新しい価値観
いまやモノで溢れる時代になり、多くの商品は必要なくなってきた。
性能ではない何か付加価値がないと売れない時代になってきている。
第2の危機:次から次へと湧き出す「競争相手」
中国、インド、東南アジア、そして南米、アフリカ…
と、 グローバル社会ではライバルは次々と現れてくる。
しかもそれらの国は低価格で勝負してくるので、価格競争では先進国は到底勝てない。
技術も進歩してきて、性能か品質もほとんど変わらないレベルになってくる。
そこではない何か違った価値で差別化をはからなくてはならない。
第3の危機:簡単なことは、すべて代行されてしまう
ライバルは何もアジアなどの発展途上国だけではなく、コンピューターやインターネットが人間の代行をしてしまう、という問題もある。
例えばアメリカなどでは、今まで弁護士に頼んでいたような煩わしい手続きも、ネットで記入するだけですべて自動で代行してくれるサービスが出来てきている。
そうすると、わざわざ人間にやってもらう必要はなくなる。
またインターネット上では国境はないので、ここでもアジアなどで低価格のサービスが始まってしまうと、そこと戦っていかなくてはならなくなってしまう。
といったように、
豊かさ、グローバル社会、インターネットの普及によって 、
- 豊かさによりモノが売れなくなる。
- 中国、インドに出来るような仕事は価格が下がる。
- コンピューター、ネットで出来ることは価格が下がる
という変化が世界で起きている。
つまり、新しい社会へと変換しなくてはならない時代が来ている。
そこで、これからの時代、注目されているのがハイ・コンセプト。
ハイ・コンセプトというのはつまり、
デザインや物語、共感、といった
人の感情に訴えるような価値を付加するということ。
それらを成功しているのがやはり
Appleや任天堂やディズニーといったような企業。
こういった現在力のあるような企業には以下の6点のような共通点があるとされています。
- 機能だけでなくデザイン
- 議論よりは物語:相手を納得させることができる能力
- 個別よりも「全体の調和」:産業、情報社会えは何かに特化することが重視された。これからは全体像を描き総括していく力
- 論理ではなく「共感」:論理だけでは立ち行かない。何が人を動かしているかを理解し、人間関係を築き、他人を思いやる能力。
- まじめだけではなく「遊び心」
- モノよりも「生きがい」
たしかに、この時代に急成長し続けている企業を見ると、そういった部分があるように思えますね。
今まで、世界の産業の移り変わりを見ると、
- 農耕社会
- 産業社会
- 情報化社会
と変化が起きてきました。
そして今また変化が起きようとしています。
ダニエルピングさんが言うように、新しく
- コンセプチュアル社会
が本当に来るのかもしれないですね。