ドラッカーが、今後資本主義の次に出現するであろう「異質なる社会」について解説した本。
内容を簡潔にまとめると以下のような内容。
急激に変化しつつあるのは、経済ではなく社会の方だ
IT革命はその要因の1つに過ぎない。
ネクストソサエティでは今後多くの新技術が生まれ、しかもその多くがITと関係のないものにまで広がるだろう。
ネクストソサエティは知識社会である。
- 知識は資金よりも容易に移動するがゆえに境界もない社会
- 万人に教育の機会が与えられる
- 万人が生産手段としての知識を手に入れしかも万人が勝てる訳ではないゆえに高度に競争的な社会になる。
eコマースは経済、市場、産業構造を根底から変える。
産業革命というのは蒸気機関の発展だった。
ITも産業革命も同じくらいの速さで進行し、ほぼ同じ大きさのインパクトを与えている。
ただこれだけ大きなインパクトを与えた産業革命が、実際に最初の50年間にしたのは産業革命以前からあった製品の生産機械化だけだった。
世界の経済と社会と政治を本当の意味で一変させたのは鉄道の出現だった。
鉄道の発明がなぜあれほど遅れたのか不思議である。
人を運ぶものからモノを運ぶものに変わったのは蒸気機関誕生から30年経った後だった。
鉄道こそが産業革命を真の革命にするものだった。
IT革命は今のところプロセスのルーティン化をしたにすぎない。
IT革命におけるeコマースの位置は、産業革命における鉄道と同じである。
ITは物理的な距離をゼロにする。
流通チャネルは顧客が誰かを変える。
顧客がどのように買うかだけでなく、何を買うかを変える。
蒸気機関の発展によって、産業革命とも蒸気機関とも関係のない、通信や光学機器という全く新しい新産業が生まれた。
印刷革命は、宗教や芸術を発展させた。
IT革命は今後20年の間に、ITと関係のない相当数の新産業が生まれるはずだろう。