「スティーブ、キャッチしてくれ!」
彼は紙の玉をひとつテーブル越しに投げた。スティーブは難なくキャッチした。
「これがよい広告だ」「またキャッチしてくれ!」
今度は5つの紙の玉を同時に投げた。 スティーブはひとつもキャッチ出来ず、紙の玉は床に落ちた。
「これが悪い広告だよ。」
ケン・シーガルの「Think Simple -アップルを生みだす熱狂的哲学-」 を読みました。
この本は、Appleで 「Think different」キャンペーンにたずさわり、iMacを命名したクリエイティブ・ディレクター、ケン・シーガルが書いた本。
NeXT時代から12年間 スティーブ・ジョブズと働いてきた彼が、Appleのもつ”シンプル“について事細かに語っています。
ジョブズがAppleに戻った時、Appleには30種類以上の製品が存在していた。ジョブズはそれを4種類にまで絞った。
シンプルに徹するのは難しい。
例えば、DELLやIBMにはたくさんの製品のラインナップがあった。
それはすべての顧客を満足させるには、たくさんの選択肢があったほうがいいと思うからだ。
確かにパソコンに詳しい人にとってはそれはいいことだった。
ただ、パソコンをそんなに詳しくない人にとっては、結局どれを買えばいいか分からないということを引き起こしまった。
Appleは逆に、顧客を絞った。
Appleの商品は分かりやすかった。4種類の中から自分にあったものを選べばよかったから。
シンプルは一見簡単なように見える。
ただ、それを実行するにはとんでもなく難しい。
なぜならターゲットを絞るということは、判断を間違ってしまうと、それでおしまいになってしまうから。
本を読んでみると、そのためにAppleが徹底的にこだわっていたのが分かります。
それは製品から広告、店舗、全てに至るまで。
そのようなシンプルにかけるエネルギーが凄まじかったからあのような革新的な製品ができたし、
それだけシンプルにこだわったからこそ、顧客にその伝えたいメッセージが届き、心を動かしたのかもしれない。